山の神へ
「待ちな」 どこからか不意に声がかかった。
ブログに掲載する写真を選ぶために過去の写真フォルダーを見ていたときである。
一応、季節感のある写真を載せることにしているので、3月下旬に撮った写真を眺めていた。
自分のサイトでも作ろうかと漠然と考えながらなんとなく準備を始めた頃の写真フォルダーを見ていたのだが、食べることが三度のメシより好きなおれの、冬仕様が完成されたこの時期の体は呆れるほど豊満である。
「載せられるやつはいねーな」とあっさりスルーして次の年のフォルダーに移ろうとしていたのだった。
声は、閉じかけたフォルダーから聞こえてきているようだ。
「つれねーじゃねーか。倒れるんじゃねーかってくらいに仕事で酷使されてたお前を支えて乗り切らせてやったのは他でもねぇ。このおれなんだぜ。」
「そういうおまえはその頃のおれなのか、だとしたらこうしてお前と話してるおれはだれなんだ」
「そんなことは知らねぇ。ただこれだけは言える。カネでも義理でも恩でも借りたもんは返す。それが人の道だ。」
「・・・兄弟。かどうか知らねーが、それは確かにそうだな。」
「わかりゃいい。あとはおまえさんに任す。細かいことは言わねぇ。」
静まった部屋でおれはもう一度写真を眺めた。
うつむいた、なんとなく心もとない感じが、怒れるポセイドンへの供物として岩場に据えられたアンドロメダのように見えてきた。
・・・見えたんだからしょうがねぇ。
もっとも、ここは結構な豪雪地域の山中で、いつまで待っても海の神様ポセイドンもペルセウスも来るあてはない。
じゃ、山の神様か・・・
ということでテキトーなタイトルを付けてブログへ投稿したのだった。

ブログに掲載する写真を選ぶために過去の写真フォルダーを見ていたときである。
一応、季節感のある写真を載せることにしているので、3月下旬に撮った写真を眺めていた。
自分のサイトでも作ろうかと漠然と考えながらなんとなく準備を始めた頃の写真フォルダーを見ていたのだが、食べることが三度のメシより好きなおれの、冬仕様が完成されたこの時期の体は呆れるほど豊満である。
「載せられるやつはいねーな」とあっさりスルーして次の年のフォルダーに移ろうとしていたのだった。
声は、閉じかけたフォルダーから聞こえてきているようだ。
「つれねーじゃねーか。倒れるんじゃねーかってくらいに仕事で酷使されてたお前を支えて乗り切らせてやったのは他でもねぇ。このおれなんだぜ。」
「そういうおまえはその頃のおれなのか、だとしたらこうしてお前と話してるおれはだれなんだ」
「そんなことは知らねぇ。ただこれだけは言える。カネでも義理でも恩でも借りたもんは返す。それが人の道だ。」
「・・・兄弟。かどうか知らねーが、それは確かにそうだな。」
「わかりゃいい。あとはおまえさんに任す。細かいことは言わねぇ。」
静まった部屋でおれはもう一度写真を眺めた。
うつむいた、なんとなく心もとない感じが、怒れるポセイドンへの供物として岩場に据えられたアンドロメダのように見えてきた。
・・・見えたんだからしょうがねぇ。
もっとも、ここは結構な豪雪地域の山中で、いつまで待っても海の神様ポセイドンもペルセウスも来るあてはない。
じゃ、山の神様か・・・
ということでテキトーなタイトルを付けてブログへ投稿したのだった。
