人待ち1
町で見かける、上着にマフラーという姿にもすっかり違和感がなくなりました。
夏の間は、四六時中あけっぱなしだった窓も夜間は閉めるようになり、今更ながら「家」と「外」の間には仕切りができたように感じます。
もちろん、もともとあるんですが。
いつも外に向かっていた意識が、やや内向きになるんですね。
温かくした部屋で、語らいながらからだの暖まる食事をとることに心惹かれはじめたりします。
子どもの頃は情操が落ち着いてくるこの季節を迎えると少しほっとしました。
たぶんエンジン全開、針が振り切れた状態でひと夏を遊びきっていたので、子どもながらに疲れを感じてたんではないかと。
ですが最近は寂しい気持ちが先行します。
どうあっても夏は戻ってこないことがわかるこの時期になると「冒険の可能性に満ちた一つの季節が終わった」という気持ちになるんです。
その「可能性」をフルに生かしきるほどヒマでもないので、実際には夏でも冬でもそう変わらないはずなんですが。
