冬営の残照2
獣のうなり声のように聞こえました。
寒い季節で、日没も早いので山の上の城址に人声が絶えるのも早く、この日は16:30頃には広い城跡にひとりきりとなっていました。
アングルを考えたり背景を選んだりしているうちに、不意に比較的近いところでうなり声を聞いたのです。
いずれ書いていきますけど、こんなことやってると結構、野生動物を目撃します。
いのししともニアミスしました。
でもそのとき聞いた鳴声とも違う気がして。
敵意や威嚇を表す音声に思えるその声は、鋭い牙と爪を持つ狼を連想させました。
狼生存説は根強くあるんですけど、まさか人里近いこの場所にはいないと思いますけどね。
あるいは動物ではなく鬼か・・・
場所柄、狼よりは可能性がありそうです。
撮影チャンスをつかもうとする気持ちが強くて、その後もちょっと残ってたんですが危険な目には遭いませんでした。
城址ってのは時代の抜け殻です。殻が強く強固なので形が残り、続く世代にその時代の記憶を語り続けます。
民の暮らしは古いものを壊してその上に構築することの繰り返しなので文献や写真にしか残りません。
列島が祈りに包まれた昨日は、規制・人材/財政難で復興の進まぬ現状があらためて紹介されていました。
震災の記憶も災害対策や街づくりなどの智恵などに昇華された形で、あるいは一人ひとりの心や記録媒体にのみ残っているという日が早く来ると良いと思います。
