軍営の秋気1
霜は軍営に満ちて秋気清し
これは謙信が詠んだものとして今日にただ一篇だけ残っている漢詩の冒頭の部分です。(異説もあります)
これが後に滝廉太郎の代表作「荒城の月」の歌詞の2番「秋陣営の霜の色」の下敷きになったと言われてます。
ちなみに作詞は土井晩翠です。
さてここは謙信が漢詩を詠んだ北陸の城でも、「荒城の月」のモデルとなった九州の城でもありませんが、さる地方の山城跡です。
かつて激しい攻防の舞台となった山上の古城址には立派な石垣が広範囲に残っていて、その地に根を張った一族の往時の力を垣間見ることができます。
ここのところ暖かい日が続いて「霜が満ちる」ほどの寒さじゃありませんが、肌を風にさらすとひんやりとして、急ぎ足でも1時間近くもかけて登ってきたために汗だくだくになった体を急速に冷やしてくれます。
あまりに気持ちよくてちょっと陶然として気が遠くなるような心地がしました。
霜満軍営秋気清
数行過雁月三更
越山併得能州景
遮莫家郷憶遠征
