白帯の過客2
絵本展って、たまたま行きあうと入ってみるくらいには好きです。
美術展ほど構えずに入れるし。
近々開催される予定の絵本展の広告を見て、十代の終わりにその作家の絵本を贈られたことを思い出しました。
今から思えばどうでもいいような、ごく些細な他人との差を気にしてあれこれ悩んでいた少年を見かねて、先輩の彼女さん(いまはめでたく奥さん)がある日プレゼントしてくれました。
ちっぽけな自分は誰かの部品に違いない、と思い込んだ坊や(といってもヒトではないです)が自分の本体を探す旅に出る話です。
「自分は自分。誰かのなりそこないではない。」
というのがその作品のメッセージであることはすぐわかりました。
わかりましたが、ちょっと恥ずかしくてストレートにお礼を言えませんでした。
上手にお礼を言える知恵がついた頃にはその手の悩みとは縁が切れていました。
でもこういう贈り物はずっと心に残ります。
ありがとう。
